豚骨? つけ麺?いいえ。この世で一番美味しい「醤油ラーメン」
「クックパッド芸人」が愛する、ラーメンの味。
親父にプレハブ小屋のラーメン屋に連れていかれ…
眠さなど吹き飛んで、映画を最後まで見た後で父親が一言「ラーメン食い行くか」と言った。
寝間着のまま父親の運転する車に乗って5分くらい。
国道沿い、畑に囲まれた一カ所にぼんやりと明かりが見えた。
畑の隅の方にプレハブ小屋のラーメン屋があった。
入り口にかかった暖簾には漢字で「一」とだけ書かれている。
中を見ると客席は6席のカウンターだけ。店内は調理場を入れても正味6坪ないくらいだったと思う。
冷蔵庫は家庭用の冷蔵庫を持ち込んでいたし、電気は電源を引いてないから店の脇に発電機が置いてあった。
そんな質素なラーメン屋が「一(かず)」だった。
狭い店内はその時満席で、店内に待っているスペースなんてもちろんないので外に戻り冬の寒空の中待っていた。
待っている間父親が「みんなあの映画見てラーメン食べたくなったんだろうな」なんて言っていた。
田舎の夜は本当に暗い。
プレハブ小屋から漏れる薄い明かり以外は国道をたまに通り過ぎる車のヘッドライト以外明かりは無い。
暗い、そして寒い中待っているにも関わらず、深夜に外にいる高揚感とこれから食べるラーメンへの期待で、興奮は高まる一方で寒さは欠片も感じなかった。
程なくして中にいた客が出てきて入れ替わるように店内に入った。
カウンターの中では小柄な赤ら顔の人の良さそうなおっちゃんがラーメンを作っていた。